蒔絵手帖 10
「羽根蒔絵」
これは特定の鳥の羽根というわけではなく、少し長めの羽根を描いた作品です。器の内側の曲面に長い線、特に細い線を描くのはとても難しいんですね。1本2本を描くことはできても、何本もバランスよく描いていくとなると、なかなか息もできないぐらい集中力がいる、そういった仕事です。
側面にも蒔絵が施してあって、花の文様を、花弁の数の順に、7弁、5弁、3弁、1弁というふうに奇数で並べています。
縁は、金粉の梨地を撒いてから錫粉を蒔いたもので、少しキラキラするんです。錫粉なので銀ではないちょっと燻し銀みたいな色で、それを金の梨地がさらに強調させています。そういう絡ませ方によって、この雰囲気になっています。