黒豆って、地味なんですけれど、かわいいじゃないですか。一粒で見るより、幾粒も集めてとか、集めた中でも一粒だけ離れたところにあるとか、そういう姿がかわいいんですよね。その感じを、ポコポコとした高蒔絵で表現したんです。潤の塗りの上に、黒の炭粉で高蒔絵をして。豆の胚芽のところには金を蒔いて、色も形もシンプルな黒豆の中でのアクセントにして、単調な黒にちょっとリズムをつけています。
僕は餡子とか豆が好きで、正月のお節の黒豆煮とかも大好きなんですね。自分で豆を煮るので、豆を洗ったりするときも、いちいち見るじゃないですか。何ともかわいらしいんです。身近な好きなものを、きれいだなかわいいなと思うものを絵にしただけで、豆はどこにでもあるものですけれど、それを高級な蒔絵にするというのもまた面白いなと思っています。